診療船「済生丸」がやってきた!
こんにちは、ふじまき@弓削です。一昨日は啓蟄。春はもうすぐそこまできています。
3月6日(火)、日本で唯一の診療船『済生丸』が生名島に来てくれました。
済生丸は、岡山済生会総合病院が保有している巡回診療船です。
岡山・広島・香川・愛媛4県の瀬戸内海および豊後水道にうかぶ65の島々を巡 回し、検診・診療にあたっています。
外は完全に「船」なのですが、中にはレントゲン室や検査室があり、まさに「海を渡る病院」でした。不思議な感じです。
瀬戸内海には、数多くの島が点在していますが、その多くは島内に医療機関を持たない無医島です。
そんな医療に恵まれない人々の手だすけをするために、済生会創立50周年を記念し、
昭和37年に診療船として建造されたのが、済生丸だそうです。現在は、3代目の済生丸が活躍しています。
済生会は、明治天皇の済生勅語によって創立されており、様々な理由で医療に恵まれない人々に医療を提供することを基礎においているとのこと。
他にも、被災地支援や大阪でホームレスの方への医療提供を行なっていることでも有名です。
地域のよって診察内容は異なるようですが、生名島では整形外科の診療と心電図の検査を行なっていました。
診療は基本的に、無料。予約制で、1日で30名ほどの方が診察に来ていました。いずれも高齢者の方です。
「普段は島外の病院に行かなければならないので、先生が来て、検診をしてくれることはありがたいことだ」と、いらしていたおばあちゃんが話してくれました。
技師の先生と少しお話させて頂いたのですが、本当に、医療弱者と呼ばれる方々に医療を提供できているかというと、悩みは多いのだそうです。
船が港に停泊していても、そこまで来る足がない方もたくさんいらっしゃいます。
病院に来られない、家から出ることができない状態にある方にこそ、本当は診察を受けて頂きたいのだと。
それには、自治体など、地域の協力が必要です。家から船までの足を用意すること。診療に来てない人がいたら、声かけをすること。
地域によって、自治体との連携度合いはマチマチなのだそうです。
今回の診療には、保健師さんがいらしていたので、お見えになる方々も安心しているようでした。(でも、まだまだすべきことはあります。)
他所からいらした先生だけではなくて、知っている人がいるということは、大事な事だと思います。
今回の診療でも、港から少し離れた場所からゆっくりゆっくり自転車をこいでいらっしゃった足の悪いおばあちゃんがいらっしゃいました。
時間を分けて、島の北と南、2ヶ所くらいに停泊できるようにする方がいいのかもしれないと思いました。
また、「無医島」といっても、各島に橋がかかることによって状況は変わってきているそうです。
上島町でいえば、高井神島には診療所があるので「無医島」という区分にはならないようですが、
交通の便を考えると、生名島よりも医療へき地という状況ではないのかなぁなんて、思ったりもしました。
どちらに行けばいいという話ではなく、離島やへき地、過疎地、無医地区という「区分」だけで物事を見ると、実情と離れてしまう。
もちろん、それは済生丸に望むことではなく、いろんな制度について思うことです。
船に乗っているのは、各県済生会の医師・看護師さんと、船員さんです。
医師・看護師さんは、各地域の済生会から交代で乗り込み、上島にはは、今治の病院から来てくださっています。
船を運行する船員さんたちは、ずーっと船に乗っています。船長はなんと、済生丸に乗って25年のベテラン!
船を降りるのは、年間100日くらいだそうで、この船で食事、寝泊まりをしているのだそうです。
瀬戸内の島々を1年かけてぐるりと回る、海を渡る病院。各島を訪ねられるのは、1年に1回。
それでも、済生丸を待つ人がいます。
☆済生丸の活動(岡山済生会総合病院) http://www.okayamasaiseikai.or.jp/saiseimaru