海をわたる給食

上島町には、4つの小学校と3つの中学校があります。

 

そのうちの1つ、魚島小中学校の給食は、毎日「海」を越えて子どもたちの元に届きます。

給食センターがある弓削島から、魚島までは、快速船で約1時間。船は1日に4便しかありません。

その日作れた給食は、しっかり鍵をかけられ、お昼前の便に積まれます。

 

ゴーーー。ジャブン、ジャブン。

 

小さな快速船が、毎日一生懸命、波をかき分け子どもたちにごはんを運びます。そのころ魚島では、先生が港にスタンバイ。

船員さんから給食を受け取り、車に乗せて学校に向かいます。

  

 

学校に着くと、白い給食着を来た子どもたちが駆け寄ってきます。さあ、お待ちかねの給食の時間です!

「早く、運んでー」

 

子どもたちと先生のごはんが、1つの食缶に入れられて届きます。

1年生と5年生ではごはんの量が異なるので、みんな均等に盛ればよいというわけにはいきません。

   

「これは1年生の分っと。」「え~、これは1年生には多いんじゃない?」みんなで考えながら、当番さんが盛りつけていきます。

どうかな、上手に盛れたかな?

 

さあ、今日のメニューは、キムチごはん、おからココット、金時豆の甘煮、春さめスープ、ババナ、牛乳です。

スープも冷めずに温かいまま届きます。冷たいものも冷たいまま届きます。

全校生徒と先生、みんな揃って、「いただきま~す」

 

こちらの学校では、給食を残す子はほとんどいないそうです。

みんなきれいに食べきって、最後は自分が使った食器を自分で洗います。ごはんが入っていた食缶も、きれいに洗って返します。

  

使った食器をその日に給食センターに返すことができないので、汚れがこびりつかないように、洗っているのだそうですが、

自分が使った食器は自分で洗うという習慣。これも、少ない人数だからこそできる教育のかたちなのではないかと思いました。

 

■船が欠航の日は、お弁当

海が荒れて船が欠航の日は、給食もお休みです。

朝1番の船の汽笛が聞こえないと、「今日は船が動かない」と、おかあさんたちは急いでお弁当の準備を始めます。

間に合わないときは、家に帰ってご飯を食べます。

 

魚島では、平成16年の町村合を期に給食が始まりました。それまでは、家に帰って昼ごはんを食べていたのだそうです。

家に帰ってごはんを食べるというのもリラックスできてよさそうですが、友達と一緒に同じものを食べる給食の場で、学ぶことも多いですよね。

 

子どもたちに、「給食は好き?」と聞くと、「毎日違うメニューがでるから好き」とのこと。

ちなみに、一番好きなメニューは、なすのラザニア、なっとうハンバークといった声が挙がりました。

子どもたちのグルメぶりと、ずいぶん凝ったメニューがでるということに驚きました。

 

全校生徒9名の海をわたる給食。この子たちが大人になったとき、この給食のことをどう思い出すのでしょうか。

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