さくらの季節が終わります。
桜まつりがおわりました。山の上からみおろす島の桜は、海と空の青に挟まれてすっきりとした印象があります。海から吹いてくる爽やかな風が気持ちよくて、うららかな日にお弁当を持ってお花見でもすれば、格別に心地よく過ごせることでしょう。また、弓削島でのお花見は、人が多すぎることがなくてちょうどよく感じました。
ところで、桜の時期はあっという間ですが、「あっという間だからこそ美しいと感じる。」のようなフレーズをよく目にします。それは置いておいて、あっという間だからこそ良いこと、役に立つことがあります。
それは、野菜の種まきです。
毎年、決まった日に野菜の種をまいている方もいらっしゃるかと思いますが、昔の農業では、春の種まきを桜の開花と合わせながら蒔いていたような習慣があったそうです。3分咲き、5分咲き、7分咲き、満開と、状態に合わせて見えてくるものがあるかもしれません。さくら漬で人気の日野菜などは、桜が満開を過ぎたころに蒔くのだそうです。
それと、日本蜜蜂の分蜂です。
春先、菜の花の開花とともに蜜蜂は一斉に活動をはじめ、群を大きくしていきます。
大きくなった群が1つの巣では収まりきらなくなると、さらに大きくなるために新たな女王蜂を生み、親の女王蜂は別の住処を探して引っ越しします。これを分蜂(=分封:ぶんぽう)といいます。
この分蜂がはじまる時期がおおよそ桜の満開から2週間後といわれています。もちろん活発な群や蜜源の豊かな地域の蜜蜂はそれより早く、貧弱な群や蜜源に乏しい地域ではそれより遅い分蜂のスタートになります。
日本蜜蜂は西洋蜜蜂と違って在来の野生種なので、気温上昇にあわせて動きはじめる西洋蜜蜂よりも寒さに強く、花の開花を見て早いうちから活動を始めるため、環境変化を目安とした飼育活動が可能になります。
ちなみに蜜源の乏しい地域について、弓削島は養蜂にはむいていないのではないかと言われることがあるのですが、いまやコンクリートに囲まれた銀座のど真ん中でも蜜蜂を飼育しているほどなので、むしろ弓削島は自然がいっぱいで、有利な方ではないかということを感じています。つまり、養蜂ができないほど蜜源に乏しい地域の方が稀だということになります。蜜蜂の活動力には驚かされるばかりですね。そのような感覚で、蜜源の貧富をみて良いのです。
ただし、同じ地域に住むことができる蜂の数は蜜源の数によって決まるので、全体として分蜂で増えた蜂群と同じ数の蜂群が越冬できずに死んでしまうということになります。そのため、多く飼育したい場合は、蜜源を栽植する努力をするか、越冬できるように群を強くする努力をしなくてはいけません。
話が随分とそれてしまいましたが、いまは蜜蜂が面白くてしかたがなくなってきました。