開放巣の撤去

昨日、日本ミツバチの開放巣を撤去しました。
ハイブツールで巣板を一枚ずつ剥ぎ、巣板についたミツバチを刷毛で落としてやります。そうしないと、流蜜が蜂の体について、蜂は動けなくなってしまいます。
最初は3枚くらいの巣板があるように聞いていましたが、実際に現地へ見に行くと6枚くらいあるように見えました。
剥いだ巣をタッパーに収めながら作業を進めてゆきます。途中、オオスズメバチが巣を襲来しましたが、あっという間にミツバチに覆い尽くされて消えてしまいました。こうやって撃退するんだなぁと感心。凄かったなぁ。
蜜がぼとぼとに垂れてタッパーは蜜だらけ。花粉交じりのねっとりとした濃いはちみつです。非加熱、ノンフィルターといわれる高級蜜ですね。
タッパーには巣がいっぱいになり、ミツバチは怒ってぶんぶん飛び回ります。そこで分かったのですが、この巣は岩場の奥まで続いており、6枚と思っていた巣板は10枚もありました。タッパーに収まりきらない巣を地面に置き、どろどろと蜜が垂れてゆく始末。やっちゃった。
垂れ蜜の先にはスマートフォンがあって蜜まみれになりました。これも勉強。持ってきた道具はすべて蜜まみれ。拭き掃除をしなくてはなりませんが、そんな気の利いた道具も準備していません。とりあえず、ごみ袋へあれもこれも放り投げ、帰ってから掃除しました。
その後は貯蜜圏と育児圏をナイフで切り分けます。育児圏には蜜蜂の卵や羽化直前の蜂が構えてるのでスカスカとしていて軽く、貯蜜圏にははちみつがぎっしりと詰まっているのでずっしりと重くなっています。蜂児は蜂児酒になり、巣はハンドクリームや蜜蝋になります。
貯蜜の中には花粉も混じっていますが、蜜蜂の貯めている花粉=ビーポーレンの殆どが「虫媒花粉」で、私たち人間に花粉症を引き起こす「風媒花粉」とは異なります。このビーポーレンの恐ろしく栄養価の高いこと。このごろ流行りの健康食材ですね。ちなみに女王蜂が長寿でいられる秘訣の「プロポリス」は、このビーポーレンとはちみつがメインでできているといわれています。
蜜を絞った巣屑は湯で溶かして次回設置する巣箱に塗布します。巣屑には蜜蝋とはちみつが混じっていて、溶かして木目にしみこませることで以前日本ミツバチが住んでいた場所だというふうに思い込ませてやることができます。一度ミツバチが入居した巣箱はその後も入居しやすくなるといわれています。
天然群が越夏し、越冬すると、来年の春に分蜂がはじまります。強い群の場合、5回ほど分蜂します。毎年そこから新しい群がたくさん生まれるので、とても貴重な存在ですね。だから、天然群の巣を撤去するというのはとても心苦しいのです。どこか別の場所でうまく生活してくれたらよいですが、剥き出しの巣をつくるということはなかなか良い場所が見つからなかったということでもあり、難しいかもしれません。
ちなみに、春に分蜂で5群に増えた蜂群のうち4群は、越冬できずに消滅してしまいます。だからといって採蜜のたびに巣を潰し、群を崩壊させるような伝統式養蜂はやりたくないなとつくづく思うのでした。