「善悪二元論」は突破済み

「善か悪か 陰か陽か 右か左か 上か下か そういう見方もいいのですが…」

こんにちは。昨日は養蜂協会の会合でした。主に西洋蜜蜂の会です。

私、日本蜜蜂と西洋蜜蜂をこよなく愛しています。

西洋蜜蜂は、日本蜜蜂と比べると蜂蜜の生産能力が高く世界中のほとんどすべての蜂蜜を供給しています。従って、専業養蜂家は基本的には西洋蜜蜂を飼育しており、需要やニーズにこだわりながら生産をしています。もちろん、少量生産でも高品質を求める方もいれば、品質は悪くともたくさん採っていっぱい供給しようという人もいます。

一方の日本蜜蜂は、蜂蜜の生産能力が西洋蜜蜂よりもずっと低いので、趣味養蜂として飼育されています。日本蜜蜂の蜂蜜というだけで至上の食料として扱われていますが、実際には飼育形態によって品質は全然違います。大きな声では言えませんが、決してケミカルフリーの自然養蜂だけが行われているわけでもないのですよ。

いま、この西洋蜜蜂と日本蜜蜂の線引き?がよく見られるのですが、その活動の多くは、趣味養蜂=日本蜜蜂の飼育側から発信されることが多いのです。

理由は、いくつかあります。

①日本蜜蜂の蜂蜜は多く取れず希少で、百花蜜なのでコクがあること。とりわけ「おいしい」と評価されていること。

②西洋蜜蜂は外来種であること。日本の気候下では病害虫に弱く、伝染病を発症しやすいので、薬品が使われること。

③西洋蜜蜂に寄生しているダニやウイルスが、日本蜜蜂の飼育にとって大きな影響を与えていること。

こんな感じです。

特に最近は天然の日本蜜蜂が減っており、全国的に日本蜜蜂の保護活動が盛んになってきました。

ですが、このために西洋蜜蜂が「悪である」と決めつけるのは、私の中では「そうじゃないんじゃない?」と思うんところもあるのです。西洋蜜蜂を大群飼育している地域で日本蜜蜂が少ないのは事実ですが、それよりも西洋蜜蜂由来のダニやウイルス病が日本蜜蜂へ感染し、蜜蜂の崩壊を招いているというのに少し「ん?」という気がします。確かに感染はするんですけれども。

きちんとミツバチ、ダニ、ウイルス系の生態や繁殖の要領を勉強し、病気発症リスクの管理や治癒メカニズムを押さえておけば、薬要らずで飼育している人は居ますよ。じゃあどこに落とし穴があるのかというと「趣味養蜂=初心者でもすぐに養蜂家」を推奨しがちなんですが、「すぐに養蜂家」の中に「適切な知識の習得」が要件として入っていないことが殆どなんです。

病気の管理もできないまま保護しよう、増やそう、これで飼育を始めてしまうとあっという間に地域中にダニ、ウイルスを繁殖させますよ。結果、天然の元いたミツバチと適切な飼育環境で暮らしているミツバチだけが生き残って、いるんです。結果、西洋蜜蜂が悪いとなるのです。

それで、改めてよく人の話を聞いてまとめてみると、日本蜜蜂の飼育者が多い地域ほど深刻になっているんですよ。天然の蜜蜂が崩壊というより、天然のミツバチが人の手で飼育されていて、飼育群がダメになって、地域のミツバチが減っているようなことが多い。

まずは飼育技術ではどうにもならないところ、つまり「農薬」「林業」などを見なおす。これらのもたらす急激な変化はコントロールがききませんから。西洋蜜蜂のための影響は、たかが知れているんですよ。

もうそろそろ、善悪二元論を突破しなくてはいけません。

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