開墾、整地
重機の入らないような生名の山の中に、ちょっとした蜂場を開墾しています。
ここはもともとかんきつ園でしたが、みかんの木はすべて枯れてしまっていて、枯れた木を処分することから始まりました。

果樹園って、特に小規模な場合、整地をせずに始めることが多いようで地面は結構でこぼこなんです。でこぼこながら微妙に傾斜がかっていて、たくさん巣箱を置くような蜂場とするには不適切な場合が多いのです。
そのため、ひたすらスコップでふくらみを削って、一輪車で高いところの土を低い所へおろしてやって、 表面を均して平坦にします。
農業も、養蜂も、段取り8分でやらなければうまくいかないもの。畑では畝のたて方が最も重要ですが、養蜂場では蜜蜂にも作業者にも快適な環境を作ることができるかどうかです。利益を得るというのは、そういう結果でついてくるところ…なもんですから、近道を探して、こういう大切な部分をすこーんとぬいて始めてしまう方が多いのも仕方ないことだと思います。後で苦労します。
次は、地面が平らになったら、こんどはキュウリ用支柱の広幅のものを立てて、その下に巣箱を置いてゆきます。

これが、巣箱の本体です。盗まれたらわかるような、ほかにはない特殊な巣箱を使っています。
私たち人間の住んでいる場所は、家やマンションなど比較的外気に左右されにくく、湿気の影響も少ない涼しくて暖かい場所ですが、蜜蜂の巣箱は常に戸外にあって、雨風にさらされて、外敵に襲われる危険があるということを考えてやらなくてはなりません。。
彼らの本来の住処は木の洞の中や岩陰であって、養蜂家が巣箱を置くような平坦な土の上というのは基本的に不適です。
そのため、落葉樹のように、寒い時期は陽を通し、暑い時期は陰を作ってやれるように養蜂家が事前に準備しておいてやることで、ずっと結果は変わってくるように思います。
きゅうり用支柱を立てておくと、夏は寒冷紗をかけて避暑対策ができるし、梅雨時期は雨対策もできる。秋は、スズメバチ対策としてすっぽりスズメバチネットで覆うこともできるし、適当な飼育場所をあちこち探すよりもずいぶんコンパクトな飼育ができるようになります。

ひとつの蜂群。養蜂家は、これをひとつの群として飼育し、5群だ、10群だということで増群して増やしますが、トータルの考え方としては全部の蜂をひっくるめて、1つの飼育場として問題解決を図ってゆくところに面白さがあります。
町内に何群の飼育蜂が、それぞれどこにいるか、病気蜂のいる場所は、大きな群は、小さな群は…そんな風に考えて、同じ蜂場で解決できる問題、別の蜂場と併せて解決しなくてはいけない問題、新たに他所から導入しなくてはならない問題、これらをパズル的に解決してゆきます。
100群、200群の蜂が、毎週どんな状況で過ごしているか。
把握しなくてはなりません。
どうでしょうか。整った環境で厳密に管理しなくちゃいけませんよね。
開墾のタイミングで、将来の作業イメージをつけておくというのはとても大切なことだと思います。
がんばります。