第2回「せとうちライン」活動報告

私たちは今夏、瀬戸内海に浮かぶ島々を舞台に活動する協力隊員が、自治体の枠を越えて交流できる枠組みとして、「せとうちライン」を発足させました。7月28日に大三島で、この新たな活動の在り方を協議するキックオフミーティングを開催。それから約1カ月後の8月27日、同じ大三島で第2回ミーティングを開催することができました。ここでは、大三島で活動する4人の協力隊員に、それぞれの活動や今後の活動計画について、ご報告いただきました。
大三島は現在、今治市の一部となっています。今治市の地域おこし協力隊は、行政が活動内容を指定しない「フリーミッション」が基本となっていて、そのため、今治市の協力隊員には活動終了後の生業づくりに直結した活動を行う方が多いのでは、という印象を受けています。今回ご報告いただいた内容を、本ブログで紹介させていただきます。
第2回ミーティングには、今治市から初参加の2名を含む7名、上島町から3名、そして広島県江田島市からも、県境をまたいで参加していただくことができました。今後さらに多くの参加者を得て、協力隊のネットワークが瀬戸内海の島々に広がっていけばいいなと願っています。
次回の「せとうちライン」第3回は10月末、いよいよ上島町での開催です!
第2回「せとうちライン」 地域おこし協力隊 活動報告
・池田 貴充 氏(今治市上浦支所)
サイクリストなど大三島に来訪する観光客と地元住民に向けて、島内の飲食店を紹介するパンフレット「ぐるぐる巡る大三島グルメマップ」を制作した。ほか、観光マップとしての機能や、サイクリストの利用者を念頭に、店舗所在地の「高低差マップ」を付けた。QRコードからホームページ「Omishima Trip Guide」にリンクしており、そこから各店舗のfacebookなどSNSに繋げることで、利用者の「ファン化」を意図している。初版として6000部を印刷し、掲載情報を改訂した第2版を4700部、印刷した。事業費は、しまなみ地域活性化推進協議会の一部会である上浦地域活性化推進協議会より2019年度事業として申請・採択された。
2020年度は今治市へのオンライン移住相談を開始後、愛媛県立今治北高等学校大三島分校のオンライン学校説明会に携わった。また、移住サイト「SMOUT」に、分校の生徒全国募集記事を寄稿した。分校を支援する住民グループの一員として、週に一度、下宿生への食事提供などを行っている。
島内の野犬対策にも協力している。
今後は、島内の井上苺園と協働して婚活イベントを企画している。
・麦島 康友 氏(今治市上浦支所)
大三島漁業協同組合と連携して銀鮭の養殖を行っている。ニジマスではなく銀鮭であること、飼料の一部に島の柑橘を使っていること、燻製するなど商品化まで一貫して行っていることなどが、差別化要因となっている。
B&G大三島海洋クラブの事務局長を務めており、土曜日に子どもの海洋体験や高校生の体験授業を行っている。B&G海洋センターの施設は、元は市が管理していたが、今は自主管理となっており、財政的には厳しい。
ほかに、上浦町と大三島町の地域おこし協力隊「新聞」の発行、小学校の田植え授業、地域の料理教室・メニュー開発「マヤマックスキッチン」に携わっている。今後は、漁業ではタコツボ漁に挑戦し、漁業以外ではゲストハウスの運営と不動産業の経営を行いたいと考えている。
・大橋 健太郎 氏(今治市大三島支所)
ミッションとして「大山祇神社参道の活性化」を設定している。4月に挨拶まわりと地域の手伝い、5月にキッチンカーの製作開始、参道空き物件の補助申請・購入手続き、6月に同物件の購入、7月にキッチンカーでの営業を開始した。取得した物件では、1階部分をカフェバー店舗・コワーキング、2階部分を住居・コリビング(ワーケーション)宿泊滞在施設とすることを予定している。
キッチンカーではキューバサンドを提供している。営業日を役場での業務の無い土日祝とし、道の駅の敷地内で営業する。内装と車体塗装をDIYで行い、初期費用を削減した。キッチンカーでの営業は、利益を物件の修繕費に充てることのほかに、地域住民とのつながりや地域活性化への貢献を目指している。
今後の活動として、キッチンカーでの販売地域拡大、島内高齢者向け宅配サービスとテイクアウト配達事業の開始、醸造用ブドウ産地化促進の手伝い、島内の子どもや親に「学校では教えてくれない」知識を教える私塾の開設などを予定する。
・有田 京子 氏(今治市大三島支所)
大三島・伯方島で活動する「しまなみイノシシ活用隊」と連携し、イノシシ油を使用したスキンクリーム、せっけん、シャンプー・リンスといった商品を開発している。商品開発には「活用隊」の施設を使用している。イノシシ油には、内臓油・皮下脂肪を活用する。イノシシ油の脂肪酸比率は、馬などほかの動物油脂よりも人の成分比率に近い。そのため、肌に浸透しやすく保湿効果があると考えられる。
大三島では年間約800頭のイノシシが捕獲されている。そのうち1/4の約200頭が食肉処理場で処理されている。食肉は「活用隊」の通販や「活用隊」代表の渡邉秀典氏のイノシシ料理専門店「DAISHIN」のメニューなどで、革は元地域おこし協力隊である重信幹広氏経営の「Jishac」によるレザークラフトなどで、骨は「猪骨ラーメン」などで活用されている。