上島町の地理区分について

島おこし協力隊として業務を開始して、初年度の10カ月目が終わろうとしています。「移住・定住促進」をミッションとする協力隊としてまずは、町への移住を促す「資源」としての機能を期待することができる「空き家」が、町内にどれほど“埋もれている”のかを把握しようと、「空き家」についての実態調査を行ってきました。そしてこの「空き家」調査は、私が町内の路地裏、山道、藪の奥まで実際に足を運んで一軒一軒の住居を確認する機会となり、上島町についてすこしずつ詳しくなってきています。また同時に、調査時にお見かけした方には挨拶して自己紹介し、調査についてご説明させていただくことにしていることもあって、町の皆様に私のこと、「空き家」調査のこと、さらには町が運営する空き家バンク制度や移住・定住促進政策について、知っていただく機会となっていると感じています。
令和2年中に、生名地区(生名島)で920戸、佐島区(佐島)で347戸、魚島地区(魚島、高井神島)で224戸の住居を確認してきました。1月後半からは、下弓削区での調査を行っています。下弓削区は、昨年3月に移住して以来、私が家を借りて住み、また職場である上島町役場弓削総合支所のある地域です。見知った顔、お世話になっている方々も増えてきて、初めて踏み入れる場所の多かった他の地区・区での調査と比べると、すこし緊張感を和らげて調査を行うことができています。
ここで、上島町における地理的な区分について述べておきたいと思います。上島町は2004年、弓削町、生名村、岩城村、魚島村が合併して誕生しました。この4つの旧町村の違いは、今でも地域の“個性”として残っています。旧町村は「地区」を単位として区分されることが多いようです。すなわち、上島町は弓削地区、生名地区、岩城地区、魚島地区の4つの地区に分けられることになります。そして旧・弓削町/弓削村は、弓削島の上弓削村と下弓削村、佐島の佐島村が合併してできた自治体でした。そのような経緯もあって、弓削地区は3つの「区」、すなわち上弓削区、下弓削区、佐島区に分けられることがあります。ここまでの地理区分は、自治会の組織構成に、ほぼ相当します。
地区や区の下位にある地理区分が、いわゆる「集落」に相当する単位となります。自治会における区分の名称は自治会ごとに異なっていて、例えば弓削では「地区」、生名では6つの「分団」、その下に「地区」、岩城では「区」、魚島では「地区」という単位で分かれています。この「集落」単位の区分は、自治会組織の構造や住所表記に反映される所もありますが、反映されない所もあって、まちまちです。例えば、私の住む下弓削の浜都(はもと)地域は、住所では「下弓削(上島町弓削下弓削)」の一部、自治会組織では中都(なかと)地域と一緒になって「中都浜都」地区の一部となっています。この「集落」単位の区分は、地域によって区分の単位・名称(前述の通り、地区、分団・地区、区、地区)が異なることもあって、理解できるまですこし時間がかかりました。
下弓削の中心部は、地区名で言えば、「中都」、「浜都」、「岳の下」といった地名となるのですが、私の所属する消防団の集まりではこれまでに、どこからどこまでが「中都」で「浜都」なのか、しばしば議論となっており、結論が出ないまま繰り返されるその議論をたのしく聞いています。
長くなりましたので、調査の途中経過については次回にお伝えできればと思っています。