仕事のあれこれ
こんにちは、上島町島おこし協力隊の西尾です。まもなく1月が終わり、残りの任期も僅かな期間となってきました。残り2か月となるため、少し現況報告をしておきます。
私は2018年の4月に上島町へ移住し、弓削地区を拠点として活動を行ってきました。業務の半分はミッションとして「観光PR、魅力発信」を行い、半分はフリーミッションとして「耕作放棄地対策」「狩猟」「養蜂」に関する地域課題の取り組みや、新たな事業創出を目的とした活動を行いました。
そのほか、災害対応や、産直市の運営にも携わり、僅かながら改善に取り組みました。全体を通してみると、実際に地域おこしとしてうまくいったことと、うまくいかなかったことがあります。うまくいったことはさておき、うまくいかなかったことをご紹介したいと思います。
耕作放棄地対策についてです。
耕作放棄地は、上島町に限らず日本全国を取り巻く非常に大きな課題です。耕作放棄地が多く発生している主な原因は「高齢化、労働力不足」と言われていますが、労働力不足には東京一極集中、地域人口の二極化などの都市化によるひずみがあり、その是正方策として地域おこし協力隊制度が活用されているという実態をよく聞きます。またそれだけの理由でもなくて、農業や畜産業という業種がそもそもうまく収益化できなくなっていることも一つの要因となっており、「就農してみたものの続かなかった」ということに繋がっているようです。
これらの原因を少しずつ分解してみると、大きな原因として見えてくる「人口構成」と、小さな原因として見えてくる「業種そのものの問題」があります。
人口構成については、耕作放棄地の対策にかかわらず地域の総合的な課題であり、そもそも耕作放棄地対策に直結するかといえばそうでもありません。地方では、農業や畜産業というビジネスにそもそも魅力がないからです。
この認識はわりと大事でした。農業や畜産業というビジネスには魅力がないということに気づくのに、随分と時間がかかりました。農業や畜産業というライフスタイルは非常に健康的で魅力的で、「魅力的」という感覚で支配されていたのでしょう。
ですが、傍目からビジネスとして考えると欠陥だらけです。
結果としてどうなるかというと、「趣味農業でいいや」になるわけです。実際にそれは、とても良いことですよね。私もそれは最高だと思っています。ですが、ある程度の耕作面積を解消するには、生業農家のちからが必要です。
農業を生業としてやりたい人は、「なんとしてもやってやる」という感じです。とても格好良いですが、厳しい状況の中で多くの人は挫折しますし、うまく成功した人は、最高のワークスタイルで、ビジネスとして申し分なし、先々まで幸せに暮らしてゆかれることかと思います。ですが、すべての人がそううまくは行きません。
耕作放棄地対策は、解決の糸口がその人によって変わってくるということも、答えが出ない一因と言えるでしょう。それを、もっと広い目で見ないといけないのかもしれません。
近年のブームでは、半農半Xという働き方がもっぱらですが、ノマド/リモート/在宅/テレワークなどでマネタイズし、体は健康的に、心にも負担なく農業ができるようなくらいがやはり、いいのかもしれません。
業種そのものの抱える問題について、それらを解決するための糸口や答えを出すことは、随分と専門的な知識が必要です。実際に自分でやってみないとわかりません。私もようやく答えが見えてきたという段階です。まずは、問題を抱えているということを前提として仕事とお付き合いしてゆくことが気持ちの上でも大切なのかもしれません。
私は協力隊として、5反~1町の面積を開墾し、農業をして生計を立ててゆくつもりでいましたが、実際にはうまくゆきませんでした。制度的に厳しいこともありましたし、何より暮らしてゆく中で将来のビジョンが少しずつ変わってきたということが1番の理由です。
その代わりに、私としては、それ以上に意味のある活動を行うことができているという想いがあります。
とにかく、今更なんとあがいても協力隊の時間はあっという間に終わってしまいますので、むこう5年先の目標向けて頑張っていきたいと思います。