活動報告/+蜂のこと

こんにちは、上島町島おこし協力隊の西尾です。

ほんとに時間が無くなってきましたので、かいつまんで活動の報告をいたします。花の島構想やしまのひろば、松原の保全など、いろいろとありましたが、2年目~3年目の終わりまで、最も情熱とお金と気合を注いで行ってきた「蜜蜂のこと」について、ご説明をして終わりたいと思います。乱文となることを先にお詫びしておきます。

前回の活動報告で、2年目の冬頃は蜂のことばかりしていた、と書いてふと気づきましたが、そのころは12月で、蜜蜂のお世話などの飼育活動はしていませんでした。また、「専業」として生きてゆくための西洋蜜蜂の飼育ではなく、「趣味」として飼育されている日本蜜蜂の飼育に関する活動を行っていました。

もちろん私の生業は「西洋蜜蜂」の飼育によって実現してゆく予定ですが、ではなぜ日本蜜蜂の飼育に関することばかりしていたのかと言うと、 まず一つ目として、社会通念上の養蜂家の抱える問題があったからです。

それは何かというと、西洋蜜蜂の専業養蜂家と日本蜜蜂の趣味養蜂化の間でお互いに相いれない問題を抱えているということです。詳しく話すと長くなるので、簡単に言うと、日本蜜蜂の飼育者は西洋蜜蜂の飼育者を「環境破壊」と言い、また、その逆としても「飼育技術がない」ために迷惑がるということです。

最初に、この問題が上島町で将来的にも起きてこないようにするために必要な方策を練りました。 そこで作り上げた、養蜂における「未来型」の地域構想として、在来蜂の保全活動(=プロ養蜂家が趣味養蜂家の飼育技術の向上に寄与することで、蜂産品の自給と自然保護を同時に行う)のモデルとなるようなことを実践していきたかったということがあります(そして自分自身が環境のバランスを崩さないためのモニタリングとしても重要でした)。

結果的に、日本全土におけるモデル地域として通用するレベルで、初期の構想が実現しています。かなり良い感じに島の養蜂環境が整ってきています。西洋蜜蜂も日本蜜蜂もみんな円満、問題起きずみんな幸せ。これが私の活動の最大の成果だと考えています。(同時に、ブランド化として全ての飼育者に対して無農薬での飼育をお伝えしています。これも今後のポイントとなりそうです。個人事業ではもちろん、それに+αの付加価値を実現してゆきます)

また、そのほか、社会福祉協議会さんとの事業である「郷土大楽」を実現したかったこと、さらに、飼育者のつながりを作りたいということがありました。

12月はそのスタートでもありました。

当時、その地域構想として、いろいろ悩むべきポイントがあり、それを解消するために大群を捕獲する必要がありました。

そのひとつを紹介してみますと

・日本蜜蜂の飼育教材が、瀬戸内海と比べて寒冷地をもとに作成されたものに偏っていること。

 ⇒季節のずれをデータとして整えなおすためには、地域でたくさんの捕獲実績が必要でした。これは、独自で行った近隣地区でのヒアリングや飼育調査などを含めておおよそ解消できました。例えば、寒冷地では桜の開花が分蜂の目安となりますが、暖地では「桜の休眠打破」のため蜂群の成長スケジュールに狂いが生じるため、あまり参考になりません。

そのほか、夏枯れがある、冬に産卵が止まらない、防寒が対策がいらない、スズメバチが異常に多いなど、様々な違いがあります。

・日本蜜蜂の取り扱いと西洋蜜蜂の取り扱いによる違い、性格の違いなど。

 ⇒群にかかわらず共通した性質を知るために、大群が必要でした。

まぁとにかく、ざっと見て10群は必要だと考えていました。そうして「最低10群」を目標に、捕獲巣箱を作成し、飼育巣箱を購入し、春に向けた作業を開始していたのが12月です。3年目は養蜂に関する講習会を実施したいと考えていたので、かなり思い切って投資しました。

そして春には13群の蜜蜂を捕獲しました。ちなみに、1箱だいたい3万円です。

そのうち4群はもともと持っていた病気によって、2週間後には維持ができない群となってしまい、9群が残りました。ですが結果的には地域の蜜蜂の特色が理解できました。

同時期、私のもとへ蜜蜂の捕獲の仕方を聞きに来てくださっている方のもとにも分蜂群がいくつも入りました。そして夏には採蜜を実現し、精蝋、ハンドクリーム作りなどにもチャレンジしていただきました。個人的に「採蜜体験がしたい」という方には、それも所有群でやってもらいました。

日本蜜蜂を捕獲をするために巣箱を置いているけれど、「3年たっても5年たっても捕獲できない」というのはザラにあるお話で、また、1000箱置いて50箱しか入らないという方もいらっしゃるそうで…(5%…)巣箱作りのお手伝いをしたり、一人一人の巣箱、蜂場を確認し、よりよい環境を提案したり、捕獲に必要なルアーや蘭なども提供したりして何とかうまくいった、という感じです。

そんな感じですから、「捕獲なんて運だ」といってしまえばそうなのですが、なんとなく、うまくいかなかったら「何もしていないことと同じ」という強迫観念がありました。なので、うまくいってよかったです。

2020年の3月には、全6回で企画をしていた養蜂講習会を実施しようと考えていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行のため、中止としました。

それでも「蜜蜂のことを教えてほしい」という方が地域内外から来られるようになり、ご連絡いただくことも増えてきて、かれこれ60名ほどの方に捕獲の仕方や飼育について、蜂産品の加工の仕方などをお伝えしています。(郷土大楽を入れると80名!?)

ちなみに郷土大楽では18名(だったかな?)の小学生を対象に、蜂のお勉強、採蜜体験、蝋燭作り、捕れた蜂蜜のテイスティングを実施しました。Kitchen kamiyuge 313の宮畑さんには蜂蜜を使った料理を提供していただきました。

6次産業から7次産業へと広がってゆく可能性を感じました。

3年目はかなり飼育相談や捕獲相談が増え、それに対応することが楽しくなってきて、後半に超少人数制で、全4回の日本蜜蜂の講習会を行いました。蜜蜂の生態、捕獲、飼育に加え、蜜蝋の加工や捕獲準備などをしました。

そのほか、蜜源植物を育成し、趣味の養蜂家さんに配布しました。

地域の花の開花状況を調査し、どこにどのような花があるかを把握したうえで、地域ごとに何の花を植えると良いかなどを提案しています。特に、地区にかかわらず暖地では夏枯れの問題があるため、私は真夏の花を推奨しています。

2021年、もう任期を終えますが、その直前にも4名の方から分蜂捕獲の報告がありました。もう幸せいっぱいで、目が眩みそうです。

そんなこんなで、活動報告を終えたいと思います。

個人的には上々の出来の3年間ですが、それは地域が判断してくれたらと思っています。

そして最後にもかかわらず、また、読み物であることを顧みない乱文となったことをお詫びいたします。

3年間ありがとうございました。

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