イノシシと暮らす①鳥獣害を受けにくい集落づくりワークショップ
ふじまき@弓削です。いろいろ書きたいことが溜まっていて、ブログ、連続投稿です・・・
6月17日(日) この日は、いのししDAY。
1日中、町内各所でいのししに関する催し物が行われました。
9:00~11:00 「鳥獣害を受けにくい集落づくり ワークショップ」@上弓削福祉センター
愛媛大学の竹内絵美先生をお招きしてのワークショップ。
現在、上弓削地区には6台のビデオカメラが設置され、イノシシの様子を記録、調査しているのですが、
そこでわかったことや、イノシシから集落を守るためのポイントを教えて頂きました。
実際に現場を見ながらのお話、とっても勉強になりました。
■調査報告
- 深夜に行動すると思われているイノシシだが、上弓削地区のイノシシは、午後9~10時に活動している。
- 昼間に観察されることが少ないイノシシだが、上弓削地区では数は多くないのものの、昼間のにもイノシシが出没している。
- 今は山に筍(イノシシの大好物!)があるので、イノシシが里まで出没しにくいが、数が減ったわけではない。
- 12~6月までは筍があるが、7~8月になって、山の中にエサがなくなると、里に降りてくる可能性が高い。
- 上弓削には、あたたかく、水場があるという、イノシシが暮らしやすく、子育てしやすい環境。
- 上弓削では、集団で行動するイノシシの姿が確認されており、上弓削が繁殖地になっている様子。
- イノシシにとって、水場は、1)飲用水 2)ヌタ打ち(泥をつけてダニを落とす) 3)エサをとる(カエルなど) ために必要。
■イノシシの生態
- イノシシは、助走なしで、1メートルくらいジャンプすることができる。
- イノシシがしっぽを振るというのは、犬と同じで喜んでいるとき。
- もともとイノシシがいた山林部などでは、林業、見回り、猟など、「山の利用」が進んでおり、イノシシが人を恐れるような場面があった。しかし、弓削のように、今までイノシシがいなかった地域では、人がイノシシを脅すということが少ないため、イノシシが人を怖がらないという現象が見られる。
■してはいけないこと
- 畑など、土の上にダンボールやトタンを置く → 下に虫が発生し、イノシシの餌場になってしまう。
- いらない作物を山に捨てる → いのししを里に呼ぶことになってしまう。餌付けをしているのと同じことに。
もともと島にイノシシはいませんでした。
イノシシは泳いでこの島にやってきました。(ちなみに、シカも泳ぐのだそうです)
耕作放棄地がいのししの餌場になっています。人間の領地が狭くなり、イノシシの人間の暮らす場所の境目が曖昧になってきています。
残念ながら、一度入ってきたイノシシを絶滅させることはほぼ不可能なのだそうです。
「イノシシが暮らす新しい時代になった。その事実を受け止め、新たな時代に対応する意思が求められる。」
イノシシ新時代・・・なんとも言えない表現ですね。どこかのSF小説みたいです。
☆イノシシ被害を受けにくい集落づくりのために必要なこと
1)畑を囲う
一生懸命育てた作物を荒らされるのは、とても腹立たしいことです。
しかし、それでけではなく、畑を荒らされる=イノシシにエサをあげる=イノシシを育てるのと同じになってしまいます。
「うちの畑はおそわれてもいいから」と言って、柵を建てないことはイノシシにエサをあげるのと同じ。
集落全体で取り組むことが必要なのだそうです。
2)荒地の草刈り
見通しを良くする(ただし、ワナを仕掛けるために適度な草木は必要)。草刈りをすることで、人が山に入り、人間のテリトリーを復活させる。
3)ゴミ・野菜くずの管理
大きくなりすぎてしまった野菜や、腐ってしまった柑橘。
今までなら、山に捨てていたということもあるかもしれません。全部、ゴミ袋に入れてすれるわけにはいかないですものね。
けれども、こういった野菜くずを山(特に、山際)に捨てるということは、エサでおびき寄せているのと同じことになってしまうのだそうです。
昔からイノシシがいる地域では、山に野菜くずを捨てるという習慣はないのだとか。
これは、費用が発生することもあるでしょうから、行政の支援が必要な問題だと思いました。
4)水場を減らす
イノシシは水場がないと暮らすことができません。これは、行政側がすべきことも多いでしょうが、
水が抜けやすいように、水路を整備するなどが必要とのお話でした。
また、捕獲したイノシシの処理も課題です。
上島町では、昨年度、獣肉処理加工施設の整備を行いました。捕獲したイノシシを食肉として加工する施設です。
指定管理者制度をとり、地元のお父さんたちで結成された捕獲隊に管理をお願いしています。
捕獲隊は、年間100頭以上のイノシシを捕獲してくださっています。
弓削のイノシシ被害が現状レベルなのは、捕獲隊の方々の活躍によるものが大きいのです。
適切な捕獲を行うこと。これも重要なことです。捕獲で「絶滅」させることはできませんが、
捕獲を行うことで、イノシシが人間を警戒するようになる。イノシシと人間のテリトリーを分けるということが必要なのだと思います。
■捕獲について
- 現在の日本では、捕獲はボランティアに頼るしかない
- 各自治体(上島町も)では、イノシシを捕獲したら報奨金を出しているところも多いが、それではとても割のあわない労働時間
- 先生の計算によると、時給100円とかになることもあるそう。
- ワナの設置、捕獲には、免許が必要だが、住民にもできることがある(というか、住民の協力が不可欠)
■住民ができること
ワナの見回りに協力する
仕掛けたワナは、毎日見回りをしなくてはなりません。見回りは免許がなくてもできることなので、
それを住民で手分けするだけで、負担は少なくなる。(ただし、ワナにかかっていた場合は、近づかず、捕獲隊に連絡すること)
搬出に協力する
捕獲した大きなイノシシを道なき山の中からひっぱり出してくるのは一苦労なのだそうです。
■理解してほしいこと
ワナは、人間には危険なものではない
ワナというと、こわいイメージがありますが、たとえ人間がワナにかかっても、怪我をすることはありません。
現在、弓削で使っているワナは、足くくり罠。実際にワナにかかるという体験をしておられる方もいましたが、難なく外されていました)
イノシシ肉の活用
捕獲とはいえ、命を奪うこと。捕獲隊の方々だって、無駄に命を奪いたくはないはずです。
そのためにも、イノシシ肉の活用ということが必要。
ということで、午後からはイノシシ肉の試食会に参加しました。→つづく